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あとがき

2019/02/08

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

 保険が適用されない、価格に反映できない、設備が高額である、にもかかわらず「義肢装具士のデジタル化」を私たちが強く勧めている理由が、おわかりいただけたでしょうか。

 いま、デジタル技術はとてつもないスピードで進化しています。

 新しい技術が生まれれば、それを活用したサービスも生まれます。そのサービスが普及すると社会に新たな仕組みが生まれ、その仕組みは人々の生活や価値観に変化を与えていきます。

 おそらく数年後には、義肢装具士を取り巻く環境は大きく変わっていることでしょう。病院における治療やリハビリ方法の変化、在宅医療の変化、介護現場の変化、人々の健康に対する意識の変化など、さまざまな変化が同時に起こると考えられます。

 そのため、あらゆる業界の人々、業種の人々が、その変化の波を乗り切るために準備を始めています。義肢装具士も、その一人にならなければいけません。

 今はまだ、義肢装具士が積極的にデジタル化を進められるような環境ではありません。保険制度や教育の問題、機器導入にかかるコストの問題などがあります。

 しかし、それらは座して待っていても解決しません。

 20年後も活躍できる義肢装具士になるために、後進の義肢装具士たちに新しい道を作ってあげるためにも、いま現場にいる義肢装具士たちが行動しなければならないのです。

「職人としての勘や感覚」で行っていた設計と適合の数値を明らかにする。処方データを収集・分析して結果を共有したり、エビデンスを確立して医師に情報提供や提案ができるようになる。一般の人々に対して「病気にならない身体づくり」に役立つアイテムやアドバイスを提供するなど、義肢装具士にとって役立つデジタル技術の活用方法はたくさんあります。

 そうした実績を積み上げて「デジタル化した義肢装具士」の価値が認識されれば、法律や制度は必ず適切に見直されるはずです。

 できることからで構いません。

 デジタル化に向けて、この本を閉じた後に、何かの行動を起こしてください。

 一人でも多くの義肢装具士が、明るい未来に向かって一歩を踏み出してくださることを願っています。

平成29年 9月吉日

荒山 元秀

島村 雅徳

森永 浩介

<著者プロフィール>


荒山 元秀(あらやま・もとひで)
同志社大学在学時にヨット部でリーダーシップを身につけ、卒業後に京セラに入社。セラミック事業部で不良ゼロの「夢ライン」を構築し、社長賞を受賞した。35 歳で独立し、企業を元気にする会社「マドック」を平成7 年に、さまざまな技術の事業化および収益化をはかる「ドリーム・ジーピー」を平成20 年に設立。足に関する世界共通のデータベース構築を目指している。


島村 雅徳(しまむら・まさのり)
平成13 年に国立身体障害者リハビリテーションセンター学院(義肢装具専門職員養成課程)を卒業。学校法人神戸滋慶学園神戸医療福祉専門学校三田校にて講師職、教務事務を経て平成17 年より学科長を勤める。平成23 年に退社し、株式会社シンビオシスを設立。義肢装具医療関連の資料翻訳やセミナー通訳を行いながら、現在は人間総合科学大学および広島国際大学の非常勤講師も勤めている。


森永 浩介(もりなが・こうすけ)
神戸医療福祉専門学校の恩師の話をきっかけに、21 際でオーストラリアのラトローブ大学に留学。当時日本になかった『チーム医療』で活躍する義肢装具士を目の当たりにして、患者に最適な提案ができる義肢装具士の可能性を追求。現在は広島国際大学総合リハビリテーション学部リハビリテーション支援学科義肢装具学専攻の助教授として、工学分野の先生方と協力をしながら、根拠に基づいた精密なインソールの開発に取り組んでいる。