IT技術による健康産業と医療の連携!

2019/02/08

すでに、変化の兆しは見えています。

 Apple社をはじめ、大手メーカーが腕時計型のウェアラブルデバイスをどんどん開発しています。

「どうしてあんなものを作ったんだろう? 画面が小さすぎて、メールのやりとりや、情報の確認が不便になる。あんなもの、売れないに決まってる」

 そう思った人は少なくないでしょう。

 しかし、腕時計型デバイスの最大の特徴は、常に身につけていることです。つまり、毎日の歩数や消費カロリー、血圧や心拍数などを常時記録できるのです。そこに健康管理系のアプリケーションがインストールされていれば、データはアプリで分析され、現在の健康状態や必要な運動量などについて、報告とアドバイスがもらえるでしょう。昔のように健康手帳に自分で数値を記入する必要がなく、腕時計デバイスをつけて生活するだけで、健康管理ができてしまうのです。これは健康で長生きしたいという近年の人々のニーズに応えた、新しい健康サービスの形といえます。

 病気にならず、健康を維持し、長生きする。高齢化が進む日本において、それはひじょうに重要なテーマです。

 あくまで予想ですが、今後はこのような健康関連業界と医療分野の連携が深まると考えています。

 なぜなら医師をはじめとする医療関係者は「帰宅後の患者さんの様子」を、リアルタイムで確認することができません。入院しているとき、または来院したときの様子しか把握できず、自宅でどのように過ごしているのかは、本人から聞き取るしかありません。

「毎日ちゃんと薬を飲んでいますか?」

「自宅でもリハビリを続けていますか?」

 そうした質問に、患者さんが正直に答えるとは限りません。リハビリをサボっていても「一応、やってます」と答える人は、多いのではないでしょうか。

 しかしウェアラブル端末で記録したデータが、医師の電子カルテと連動するようになれば、帰宅後も血圧や脈拍は安定しているか、どれくらいの頻度でリハビリに取り組んでいるか、きちんと服薬しているか、その効果が出ているかなど、正確な情報を入手できるようになります。

 これは、義肢装具士も同じです。

 義肢または装具を納品した後、リハビリを担うのは理学療法士ですから、患者さんが日常的にどのように使用しているのか、義肢装具士が直接知る機会はほとんどありません。

 もしも、患者さんが義肢(または装具)を正しく装着しているか、どれくらいの頻度で装着しているかが分かるデバイスが普及すれば、義肢・装具による治療効果の有無が、今よりも厳密に判断できるようになります。

 じつは、そうしたデバイスが開発されているという話を聞いたことがあります。近い将来、世の中に出てくるはずです。これを活用しない手はありません。

 このように、今後の医療業界は「できないと思っていたこと」が、デジタル機器によってどんどん「できる」ようになっていきます。そのような中で、デジタル化をしていない医療職がどうなるか──想像できるはずです。